体重は同じでも“おなかまわり”で差がつく。内臓脂肪と心臓の、見過ごせない関係

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「体重はそんなに変わっていないから大丈夫」——健康診断のあと、そう思ってホッとしていませんか? あるいは、BMIが標準の範囲だから、自分は問題ないと感じている方も多いかもしれません。

管理栄養士の大熊まゆです。私は以前、特定健診・保健指導の導入にも携わってきました。その現場でずっと感じてきたのが、「体重やBMIだけでは、本当のリスクは見えない」ということです。今日はその話をさせてください。

BMIだけでは、心臓のリスクを見誤る

最近、こんな大規模な研究が報告されました。世界の約26万人を平均20年ほど追いかけて、体格と心臓病リスクの関係を調べたものです。

そこで分かったのは、BMIで「標準体重」と分類された人でも、おなかまわり(腹囲)やウエスト・ヒップ比が大きい人は、多くの心臓病リスクが15〜50%ほど高かった、ということ。とくに腹囲との結びつきが強かったのが、心不全と心房細動でした。

同じ体重、同じBMIでも、脂肪が「どこについているか」でリスクが変わる。カギは、おなかの内側にたまる「内臓脂肪」なんです。

内臓脂肪は、生活習慣病の「入口」

内臓脂肪がやっかいなのは、それ自体が終点ではなく、いろいろな不調の「入口」になることです。

内臓脂肪がたまると、血糖・血圧・中性脂肪などが少しずつ乱れ始めます。しかも生活習慣の問題は、ひとつでは終わりません。血糖の乱れが血圧に、血圧が血管に……と、複合的にどんどん重なって、合併していく。ここが本当に怖いところなんです。

特定健診の現場で使われるデータにも、それははっきり表れています。たとえば、早食いの習慣がある人はメタボと診断される割合が約2倍。間食の習慣がある人は肥満が約1.5倍、内臓脂肪型肥満が約1.3倍。そして40歳以上の男性は、2人に1人がメタボかその予備群といわれています。

だからこそ、「体重」より「おなかまわり」

私がお伝えしたいのは、体重計の数字に一喜一憂するより、「おなかまわり」を気にかけてほしい、ということです。

自分でできる目安として、日本では特定健診の腹囲の基準が、男性85cm・女性90cm以上とされています。メジャーひとつあれば、おうちで測れます。「体重は変わっていないのに、ベルトの穴がひとつ外側になった」——そんな小さなサインが、内臓脂肪からの大事なお便りかもしれません。

「全部やる」より、今の3つ

とはいえ、いきなり生活を丸ごと変える必要はありません。私がいつもお伝えしているのは、「全部やる」より「今の自分に効く3つに絞る」こと。たとえば、こんな順番はどうでしょう。

  • ① まず、おなかまわりを一度測ってみる(現在地を知る)
  • ② 早食い・ながら食いをやめて、ひと口ずつ味わう
  • ③ 今より10分だけ多く体を動かす(「プラス・テン」)

内臓脂肪は、生活習慣で増えたぶん、生活習慣でちゃんと応えてくれます。焦らず、ひとつずつ。

数字の奥にある「あなた」を見たい

保健指導の現場で私が学んだいちばん大切なことは、数字はあくまで入口だ、ということです。同じ腹囲でも、背景にある暮らしも、大切にしたいことも、一人ひとり違います。

だから私は、検査の数字だけを見て「これをやめてください」と言う関わり方はしません。あなたの生活と価値観を横断して見ながら、「今のあなたに必要な順番」を一緒に設計していく。もし、自分の数字を「自分ごと」として整理したくなったら、そのお手伝いをさせてください。

あなたの体重計は、あなたの本当のリスクを、まだ教えてくれていないかもしれません。まずは、おなかまわりから。今日、一歩だけ一緒に踏み出してみませんか。

大熊まゆ|管理栄養士・健康運動指導士・NRサプリメントアドバイザー・健康コンサルコーチ®️

※本記事で紹介した体格と心血管リスクの研究は観察研究であり、因果関係を証明するものではありません。数値の基準は健診制度により異なります(例:特定健診の腹囲基準は男性85cm・女性90cm、脂肪肝MASLDの代謝要素の腹囲基準は男性94cm・女性80cm)。体調にご不安のある方は医療機関にご相談ください。

参考文献
1)Dardari ZA, et al. J Am Coll Cardiol. 2026;88:670-684.
2)厚生労働省「健康日本21アクション支援システム」栄養・食生活ツール.

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