この3回シリーズも、いよいよ最終回です。
第1回では、血管を傷つける「3つの火種」と、その奥でくすぶる「慢性炎症」のお話をしました。第2回では、その炎症を裏で動かす「糖質のとりすぎ」と「腸のもれ」に触れました。今日はいよいよ、では具体的にどう食べ直せばいいのか、「食生活の再設計」を、今日からできる形でお伝えします。
難しいことはありません。大切なのは、完璧を目指すことではなく、続けられる小さな工夫を積み重ねることです。
再設計その① 血糖をゆるやかにする「食べ方」
同じ食事でも、食べ方しだいで、食後の血糖の上がり方は変わります。
- 食べる順番を変える(野菜や海藻を先に、次にたんぱく質、ごはんやパンは最後に)
- ゆっくり、よく噛んで食べる
- 甘い飲み物や白いパン・お菓子など、精製された糖質を少し減らす
野菜やたんぱく質を先に食べてから糖質をとると、食後の血糖の急上昇がおだやかになることが、研究でも報告されています(Shukla, 2015)。特別な食材はいりません。順番を変えるだけです。
再設計その② 腸を整える
血管の健康は、じつは腸とつながっています。腸内の環境が整うと、体の中の炎症もしずまりやすくなります。
- 納豆・ヨーグルト・味噌・ぬか漬けなどの発酵食品を、毎日少しずつ
- 野菜・海藻・きのこ・豆で、食物繊維をしっかりとる
- いろいろな種類の食材を、少しずつ食べる
発酵食品を多くとった人で、腸内細菌の多様性が増え、炎症の指標が下がったという研究があります(Wastyk, 2021)。毎日の一皿が、体の中の「火消し役」になってくれます。
再設計その③ 抗酸化と、油の選び方
血管を傷つける活性酸素に負けないために、抗酸化の食品を味方につけましょう。
- 色の濃い野菜や果物(緑黄色野菜、ベリー類など)を毎食に少しずつ
- さばやいわしなどの青魚の良い油を、週に数回
- 揚げ物や超加工食品、砂糖入りの飲み物は「ときどきのお楽しみ」に
抗酸化は、サプリよりもまず食品から。これは、私がいつも大切にしている考え方です。
管理栄養士・大熊まゆの視点
食後血糖が上がりやすい体質の私自身、この「食べ方」と「腸を整える」習慣を、毎日ゆるく続けています。おかげで、先日の検査では炎症の数値(CRP)は0.03でした。体質は変えられなくても、食べ方でここまで整えられるのだと、自分の体で感じています。
もちろん、私も「100パーセントずっと健康な人」ではありません。気にかけている項目もありますし、もともと持っている体質もあります。人間はだれもが、どこかに弱いところを持っているものです。それでも、食事・運動・睡眠という、自分でコントロールできることを整えておけば、大きくは崩れずにいられる。これは、私自身が身をもって感じていることです。
大切なのは、完璧な食事ではありません。今日できたこと、続けられそうなことを、ひとつずつ選ぶことです。あなたなら、まずどれから始めてみたいですか。
今日からできる、最初のひとつ
3回にわたってお話ししてきましたが、覚えておいてほしいのは、たったこれだけです。
- 野菜やたんぱく質を先に、糖質は最後に
- 発酵食品と食物繊維で、腸を整える
- 食後に10分、歩いてみる
病名がつく前の毎日にこそ、体を変える力があります。今日の一皿、今日の一歩から、いっしょに始めてみませんか。
参考文献
- Shukla AP, et al. Food Order Has a Significant Impact on Postprandial Glucose and Insulin Levels. Diabetes Care. 2015;38(7):e98-e99. doi:10.2337/dc15-0429
- Wastyk HC, et al. Gut-microbiota-targeted diets modulate human immune status. Cell. 2021;184(16):4137-4153. doi:10.1016/j.cell.2021.06.019
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。引用した研究には少人数を対象とした研究が含まれ、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。持病のある方や治療中の方は、自己判断で食事を大きく変えず、主治医や管理栄養士にご相談ください。
大熊まゆ|管理栄養士・NRサプリメントアドバイザー・健康コンサルコーチ®️

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