慢性炎症を裏で操る「真の大元」。糖質過剰と“腸のもれ”の話

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前回は、動脈硬化の本当の犯人が、血管を傷つける「3つの火種」と、その奥でくすぶり続ける「慢性炎症」だというお話をしました。

では、なぜ現代を生きる私たちの体は、これほど炎症が続きやすいのでしょうか。今日は、その炎症を裏で動かしている「2つの大元」を、やさしく整理していきます。

大元その① 糖質のとりすぎ

いちばんの大元は、やはり糖質のとりすぎです。とくに、砂糖や白いパン、お菓子といった「精製された糖質」を、毎日くり返しとることが問題になります。

食後に血糖値が急に上がる状態がくり返されると、体の中では「こげつき」のような反応が起きます。余った糖がたんぱく質とくっついて、AGEs(終末糖化産物)という物質ができるのです。このAGEsが、血管や組織に炎症を起こす原因のひとつになると考えられています。

食事からとるAGEsは、調理法でも減らせることが報告されています(Uribarri, 2010)。同じ食材でも、高温で長く焼く・揚げるより、蒸す・ゆでるほうがAGEsは少なくなります。

大元その② 腸の「もれ」(リーキーガット)

もうひとつの大元が、腸の状態です。

私たちの腸の壁は、必要な栄養だけを通し、余計なものは通さない「関所」の役割をしています。ところが、この関所がゆるんでしまうと、本来は入ってこないはずの未消化のものや細菌の一部が体の中に入り込み、全身の炎症スイッチを押してしまうことがあります。これが「腸のもれ(リーキーガット)」と呼ばれる状態です。

腸のバリア機能がゆるむと全身の炎症につながる、というしくみは研究でも報告されています(Fasano, 2012)。

レクチンは、こわがりすぎなくて大丈夫

ここで「レクチン」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。豆類や一部の野菜に含まれる成分です。

生や加熱不足の豆に多いレクチンは、たしかに腸を刺激することがあります。ただし、しっかり加熱したり圧力鍋で煮たりすれば、その働きはほとんどなくなります。「レクチンがあらゆる不調の原因」という説は今のところ科学的に確定しておらず、豆類を極端に避ける必要はありません。ふつうに加熱して食べれば、豆はむしろ食物繊維の豊富な良い食材です。

管理栄養士・大熊まゆの視点

食後血糖が上がりやすい体質の私は、「何を食べるか」だけでなく「どう食べるか」をとても大切にしています。同じ食材でも、調理や食べ方でこんなに違うのかと、自分の体で実感してきました。

そして最近つくづく思うのは、腸を整えることの大切さです。糖質をとりすぎない、発酵食品や食物繊維をとる、よく噛む。この地味な積み重ねが、体の中の炎症をしずかに減らしてくれます。特別なサプリや高価な健康法よりも、毎日の一皿のほうがずっと力を持っています。

私も、「100パーセントずっと健康な人」ではありません。もともと持っている体質もありますし、気にかけている項目もあります。でも、人間はだれもが、どこかに弱いところを持っているものです。だからこそ、食事・運動・睡眠という、自分でコントロールできることを整えておく。それだけで、もともとのものが大きく崩れずにすむ。これは私自身が、自分の体で感じていることです。

今日からできる、最初の一歩

今日も、ひとつだけ選んでみてください。

  • 砂糖入りの飲み物や白いお菓子を、少しだけ減らす
  • 焼く・揚げるより、蒸す・ゆでるを一品増やす
  • 豆類はしっかり加熱して、食物繊維源として上手に使う
  • 納豆・ヨーグルト・味噌などの発酵食品を毎日少しずつ
  • よく噛んで、ゆっくり食べる

あなたの腸は今、どんな状態でしょうか。ときどき、自分のお腹の調子に耳をすませてみてください。

まとめ

  • 慢性炎症の大元は、「糖質のとりすぎ」と「腸のもれ」の2つ
  • 糖質の急上昇のくり返しは、AGEs(こげつき)を通じて炎症につながる
  • 腸のバリアがゆるむと、全身の炎症スイッチが入りやすくなる
  • レクチンはこわがりすぎず、しっかり加熱すればOK

次回(第3回)は、いよいよ仕上げです。病名がつく前に体の流れを整える、具体的な「食生活の再設計」と、今日からできるファーストステップをお伝えします。

参考文献

  • Uribarri J, et al. Advanced glycation end products in foods and a practical guide to their reduction in the diet. Journal of the American Dietetic Association. 2010;110(6):911-916.e12. doi:10.1016/j.jada.2010.03.018
  • Fasano A. Leaky gut and autoimmune diseases. Clinical Reviews in Allergy & Immunology. 2012;42(1):71-78. doi:10.1007/s12016-011-8291-x

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。引用した研究には総説(レビュー)が含まれ、すべての因果関係を断定するものではありません。持病のある方や体調に不安のある方は、自己判断で食事を大きく変えず、主治医や管理栄養士にご相談ください。

大熊まゆ|管理栄養士・NRサプリメントアドバイザー・健康コンサルコーチ®️

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