「健康診断でコレステロールが高いと言われたので、卵やお肉を控えています。」

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「健康診断でコレステロールが高いと言われたので、卵やお肉を控えています。」

栄養相談の現場で、今でもよく耳にする言葉です。でも、少しだけ立ち止まって考えてみませんか。

私は管理栄養士として長く健康づくりに関わってきました。その中で、「コレステロール=悪」という思い込みが、かえって遠回りになっている方をたくさん見てきました。今日は、動脈硬化がなぜ起きるのか、そして本当に気をつけるべきものは何かを、最新の研究をもとにやさしく整理します。

コレステロールは、本当に「悪者」なのでしょうか

コレステロールは、細胞膜やホルモンの材料になる、私たちの体に欠かせない物質です。ゼロにしていいものではありません。

もちろん、いわゆる悪玉(LDL)が多い状態はリスクのひとつです。ここは正直にお伝えします。ただ、血管に本当に悪さをするのは、そのLDLが「酸化・変性」してしまったときです。きれいなLDLではなく、傷んで変質したLDLが、血管の壁にたまっていきます。

つまり、数値だけを敵視して食事を極端にするよりも、LDLを変質させてしまう「原因」に目を向けることが大切なのです。

※とはいえ、コレステロール値を無視してよいわけではありません。数値が高い方は、自己判断で食事や薬を変えず、必ず主治医にご相談ください。

血管を傷つける「3つの火種」

動脈硬化の引き金になる、直接的な原因ははっきり分かっています。次の3つです。

① タバコ(喫煙)

タバコに含まれる化学物質が、血管の内側を直接傷つけ、血管をぎゅっと収縮させます。

② 高血圧

常に高い圧力がかかることで、内側から血管の壁が傷んでいきます。

③ 食後高血糖(血糖スパイク)

これが、現代人でいちばん見落とされている盲点です。健康診断の「空腹時血糖」が正常でも、食後に血糖値がドカンと急上昇する「血糖スパイク」が起きていることがあります。

血糖が急に上がると、血管は大量の活性酸素にさらされ、内側から炎症を起こします。食後の高血糖が酸化ストレスを生み、血管の内壁を傷つけることは、研究でも指摘されています(Ceriello, 2005)。「脂質の質」よりも、じつは「糖質のとり方」が血管を痛めている、という視点はとても大切です。

本当の黒幕は「慢性炎症」

3つの火種で血管が傷つくと、体は一生懸命それを修復しようとします。ところが、体の中で炎症がずっと続いていると、修復が追いつきません。

すると、変性した脂質が血管の壁の中にたまり、プラーク(血管のドロドロしたかたまり)ができてしまいます。

「動脈硬化は、じつは炎症の病気である」という考え方は、1999年に発表された有名な研究以来、広く受け入れられています(Ross, 1999)。血管の壁で小さなボヤ(炎症)がくすぶり続けていることこそが、本当の問題なのです。

だからこそ、私たちが向き合うべきは、コレステロールの「数値」そのものよりも、火種を減らし、炎症を鎮めることだと私は考えています。

管理栄養士・大熊まゆの視点

じつは私自身、妊娠中の糖負荷試験で「食後血糖が上がりやすいタイプ」だと分かりました。だから、この話は他人事ではありません。

保健所で栄養士をしていたころ、周りの管理栄養士さんたちが自主的に勉強会を開いてくれて、血糖値の測定器の使い方などを学ぶ機会がありました。実際に自分でも測ってみると、同じ食事でも、食品や食べ方で数値の出方がずいぶん違うことが分かり、とても勉強になりました。

先日、炎症の数値(CRP)を測ったら0.5でした。インスリンが出にくく、食後血糖が上がりやすい体質の私でも、食事と生活習慣で、体の中の炎症はかなりコントロールできる。これは実感しています。

抗酸化は、サプリよりもまず食品から。そして糖質は、「吸収を抑える」ことばかり考えるより、「体で上手に使えるようにする」という視点も大切だと、自分の体を通して感じています。

今日からできる、最初の一歩

難しく考えなくて大丈夫です。まずはひとつだけ、選んでみてください。

  • 食べる順番を変える(野菜・たんぱく質を先に、糖質は最後に)
  • ゆっくり、よく噛んで食べる
  • 甘い飲み物や、白いパン・お菓子などの精製された糖質を少し減らす
  • 色の濃い野菜や果物など、抗酸化の食品を毎食に少しずつ
  • 食後に10分だけ歩く

食後の血糖の急上昇をゆるやかにするだけで、血管の火種はぐっと減っていきます。あなたは今、食後の体の中で何が起きているか、考えてみたことはありますか。

まとめ

  • 動脈硬化は「コレステロールの量」だけの問題ではない
  • 血管を傷つける3つの火種は、喫煙・高血圧・食後高血糖
  • 本当の黒幕は、くすぶり続ける「慢性炎症」
  • 数値が気になる方は主治医に相談しつつ、まずは食後血糖をゆるやかにする一歩から

次回(第2回)は、この慢性炎症を引き起こす「真の大元」である、糖質過剰とレクチン(リーキーガット)に踏み込んでいきます。どうぞお楽しみに。

参考文献

  • Ross R. Atherosclerosis—An Inflammatory Disease. New England Journal of Medicine. 1999;340(2):115-126. doi:10.1056/NEJM199901143400207
  • Ceriello A. Postprandial hyperglycemia and diabetes complications: is it time to treat? Diabetes. 2005;54(1):1-7. doi:10.2337/diabetes.54.1.1

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。引用した研究には総説(レビュー)が含まれ、すべての因果関係を断定するものではありません。コレステロール値や血糖値が気になる方は、自己判断で食事や薬を変えず、主治医にご相談ください。

大熊まゆ|管理栄養士・NRサプリメントアドバイザー・健康コンサルコーチ®️

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